電子記録債権・債務


3級で勉強してきた債権は「売掛金」「受取手形」「貸付金」。債務は「買掛金」「支払手形」「借入金」などでした。

2級になって登場する新たな債権・債務が、電子記録債権・債務です。略して「電債」(でんさい)です。電子記録債権・債務は平成28年6月の検定から試験範囲となりました。「でんさいネット」で電子記録債権について調べてみると、電子記録債権は、手形・指名債権(売掛債権等)の問題点を克服した新たな金銭債権です。電子記録債権の発生・譲渡は、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録することが、その効力発生の要件です。(でんさいネットより引用)とあります。

 

例えば、債権の問題点を手形で考えると「作成・交付コスト」「紛失・盗難リスク」「分割不可」というものがあげられますが、電子記録債権だとこういった問題点が解決できるという事なんですね。電債は紙ではないから印紙もいらないし、紛失盗難の恐れもないです。電債の大きな特徴は「分割や譲渡」が出来る点だと思います。例えば100万円の電子記録債権があって、30万円をどこかに支払わなければならない時は、この100万円の電子記録債権から30万円分だけを支払先に譲渡することが出来ます。

電子記録債権の処理

電子記録債権はネットを使った新しいタイプの債権です。主な取引としては①発生、②譲渡、③消滅、があります。

今回は債権者が売掛金について、電子記録債権を記録した際の発生、譲渡、消滅の仕訳を確認します。

 

問題1.浜松商店は、磐田商店に対する売掛金150,000円について同店の承諾を得て電子記録債権の発生記録を行った。

電子記録債権

売掛金について電子記録債権の発生記録を行っているので、売掛金勘定から電子記録債権へ振替えを行います。これで浜松商店は電子記録債権150,000円を保有していることになります。

問題2.浜松商店は、名古屋商店に対する買掛金80,000円の支払いのために電子記録債権の譲渡記録を行った。

買掛金の支払いのため、80,000円の電子記録債権を譲渡しました。これで電子記録債権の残高は70,000円です。

問題3.浜松商店は、電子記録債権40,000円を岡崎商店に売却するために譲渡記録を行った。売却代金の38,000円は現金で受け取った。

電子記録債権売却

電子記録債権40,000円を38,000円で売却して売却損になっています。「電子記録債権売却損」(費用)勘定を使って処理します。電子記録債権の残高は30,000円になりました。

問題4.保有している電子記録債権の支払い期限が到来し、当座預金口座に振り込まれた。

電子記録債権 振込み

これで150,000円保有していた電子記録債務が消滅しました。

電子記録債務

債務者が買掛金について、電子記録債務を行った際の発生、消滅の仕訳を確認します。

 

問題1.名古屋商店は仕入先浜松商店に対する買掛金80,000円について、電子記録債務の発生記録を行った。

電子記録債務

買掛金勘定から電子記録債務へ振り込え処理を行います。

問題2.電子記録債務80,000円の支払期限が到来し当座預金で決済した。

電子記録債務 振込み

当座預金からお金を支払っているので、電子記録債務の消滅を行います。