為替予約


為替予約とは、決済日の為替レートがいくらであろうとも為替予約時に予約したレート(予約レート)で決済するというものです。例えば①売上時に1ドル120円の時に売掛金1,000ドルが発生、②決済時には1ドル100円となってしまった場合、売掛金の金額が計上時は120円×1,000ドルで120,000円。決済時には100円×1,000ドルで100,000円となります。20,000円も受取額が減ってしまうわけですね。

そこであらかじめ決済時の為替レート(予約レート)を決めておくことが出来ます。そうすると決済時の為替レートがどう変動しても予約レートで決済されるので、為替レートの変動に伴う収入の減少を回避することができるんです。

 

為替予約は、為替レートの変動に伴う収入の減少や支出の増加を避けるために、決済時の為替レートをあらかじめ予約できるシステムです。為替予約は取引の発生時に行う場合と取引発生後に行う場合があります。振当処理とよぶこともあります。

取引発生時までに為替予約を付した場合

取引発生日までに為替予約を行ったときは、取引の金額を予約レートで換算します。この予約レートの金額で決済されるわけです。ですので予約レートで換算した売掛金や買掛金は決算時において換算替えをしません。

また決済時には予約レートで決済されるので、為替差損益は生じません。

取引発生時

問題1.アメリカの得意先に商品1,000ドルを掛けで販売した。なお、取引と同時に為替予約を行い、取引日の為替レートは1ドル120円。予約レートは1ドル125円である。

予約レートは125円なので、取引の金額は予約レート125円×1000ドルで125,000円です。

 

 

決算時

問題2.決算日を迎えた。決算日の為替レートは1ドル115円である。

決済時

問題3.売掛金の代金が決済され取引銀行で円貨に両替して普通預金口座に入金した。

取引発生後に為替予約を付した場合

取引発生後(取引発生時に仕訳をした後)に為替予約を行う場合は、取引発生時の為替レート(直物レート)と為替予約時の予約レート(先物レート)との差額分だけ換算差額が発生します。この換算差額は「直直差額」(じきじきさがく)と「直先差額」(じきさきさがく)の2つにわけることが出来ます。直直差額を為替差損益、直先差額は期間配分していきますが、簿記2級では両方とも為替差損益としてまとめて処理をします。取引発生時の為替レートと、予約レートの差額を「為替差損益」で処理すると覚えておきましょう。

決算時には換算替えはしません。

取引発生時

問題1.☓1年12月15日に、アメリカの得意先に商品1,000ドルを掛けで売り上げた。取引発生時の為替レートは1ドル120円である。

為替予約時

問題2.☓2年2月15日、売掛金1,000ドルに為替予約を行った。予約時の為替レートは1ドル125円、予約レートは128円である。振当処理によることとする。直先差額はすべて当期の損益として処理する。

(予約レート @128円ー取引発生時レート@120円)×1,000ドル=8,000円

決算時

問題3.☓2年3月31日 決算を迎えた。決算時の為替レートは1ドル112円である。

決済時

問題4.☓2年12月14日、取引先より売掛金1,000円が送金され、取引銀行で円貨に両替するとともに現金で受け取った。決済時の為替レートは1ドル108円である。