満期保有目的債券(資産)とは、利息を受取ることを目的に満期まで保有する社債・国債などの債券をいいます。満期保有目的債券は①購入時 ②利息の受取り ③決算時 に仕訳をします。
満期保有目的債券は満期まで保有すると額面金額と利息が返ってくるシステムです。保有している期間中は利息が受け取れます。額面金額と取得原価に差がある場合に、金利の調整と認められれば差額の調整を行うことがあります。
ちなみに社債は広く購入してもらうために、額面金額より安く割り引いて発行することがあります。そうすると額面金額と取得原価に差が出てくるわけです。購入した側からみると、割引いて購入したのに、満期になれば額面金額と利息が返ってくるので、お得なシステムです。その差額を一気に調整するわけではなく、期間内に少しずつ(2級は定額法)で差額の調整を行っていきます。
差額の調整とは、購入時に額面金額よりも低い・又は高い価額で購入し、金利の調整と認められる場合は「償却原価法」を適用して、購入金額と額面金額の差額を償還期に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価格に加減する処理のことです。
問題1.当社は平成27年4月1日に満期保有の目的で、額面金額100,000円のA社社債を97,000円で取得し、代金は当座預金から支払った。この社債の満期日は平成30年3月31日、年利率1%、利払日は9月末、3月末の年2回であり当座預金に振り込まれる。額面金額と取得価額との差額は金利の調整と認められるため、決算(3月31日)において償却原価法(定額法)を適用する。
①平成27年4月1日
②平成27年9月30日 利息の受取り
額面金額100,000円×1%×6か月÷12か月=500(半年分の利息)
③平成28年3月31日 利息の受取り
④決算時に償却原価法による差額の調整を行います。
額面金額100,000円と購入価額97,000円の差額 3,000円を保有している期間3年間で償却します。
3,000円÷3年=1,000円です。1,000円ずつ毎年調整することになります。取得時27年4月1日が97,000円でした。1年後の決算で満期保有目的債券1,000円が追加されたので、B/S価格は98,000円になります。
⑤平成28年9月30日 利息の受取り
⑥平成29年3月31日 利息の受取り
⑦決算時に償却原価法による差額の調整を行います。
2年目の差額の調整が行われました。
取得時27年4月1日が97,000円でした。1年目の決算で満期保有目的債券1,000円が追加、2年目の決算で満期保有目的債券1,000円が追加されB/S価格は99,000円になります。
⑧平成29年9月30年 利息の受取り
⑨平成30年3月31日 利息の受取り
⑩決算時に償却原価法による差額の調整を行います。
3年目の差額の調整が行われました。
取得時27年4月1日が97,000円でした。1年目の決算で満期保有目的債券1,000円が追加、2年目の決算で満期保有目的債券1,000円が追加され、3年目の決算で満期保有目的債券1,000円が追加されB/S価格は100,000円になります。
満期日になると社債は額面金額で返ってきます。平成27年4月1日には満期保有目的債券の金額は97,000円でしたが、3年間で1,000円ずつ加算され満期の3年後には額面金額の100,000円に調整されます。