剰余金の処分


株式会社では、決算において当期純利益を計算した後、その利益をどうするのでしょうか?決算日の翌日から3か月以内に開催する株主総会で決めていきます。会社の利益は出資者である株主のものです。利益の使い道を株主総会で株主に承認してもらう必要があります。

この利益の使い道を決めることを剰余金の処分といいます。剰余金の処分とは、現金などを社内留保し利益の使い道を決めることをいいます。現金などの社外流出を伴うもので剰余金の配当もあります。これは会社の利益を株主に分配するものです。配当金のことです。

 

剰余金の配当…株主配当金(株主に対する利益の分配 現金などが社外流出する)

剰余金の処分…利益準備金 任意積立金(社内留保分の利益の使い道)

 

剰余金の処分・分配の流れ

①決算で利益が確定→②株主総会で剰余金の処分・配当が承認→③株主に配当金の支払い

決算 利益確定

決算において確定した当期純利益を損益勘定から繰越利益剰余金(純資産)に振替ます。

当期純利益は、株式会社の剰余金の処分が決まる株主総会まで「繰越利益剰余金」勘定で管理されます。

 

問題1.平成☓3年3月31日、浜松株式会社は第1期決算において当期純利益500,000円を計上した。

繰越利益剰余金

剰余金の処分・配当

株主総会の承認によって処分が確定した繰越利益剰余金は、未払配当金や利益準備金勘定といった剰余金処分項目を表す勘定へと振替られます。株主への配当金は、「未払配当金」(負債)勘定へ。これは配当金の金額は決まったけど、まだ実際に支払っているわけではないので未払としておきます。「利益準備金」(純資産)や「任意積立金」(純資産)といった社内留保分の剰余金の使いみちについては、各項目を使った勘定科目を使って処理します。

 

問題1.平成☓3年6月27日、浜松株式会社は第1期の株主総会において繰越利益剰余金500,000円を次のように処分、配当することになった。利益準備金100,000円 株主配当金150,000円 別途積立金 200,000円 残額は次回まで繰り越すことにした。

剰余金の処分と配当

配当金の支払い

株主総会で承認された配当金を株主へ支払った場合は、「未払配当金」(負債)の勘定を減少させます。

 

問題1.平成☓3年7月1日、浜松株式会社は第1期の株主総会において株主配当金150,000円を小切手を振り出して支払った。

剰余金の処分における利益準備金の積立額

利益準備金は、会社法の規定により以下のように規定されています。①②両方の用件を満たす必要があります。

①利益準備金の積み立ては、資本準備金と利益準備金の合計額が、資本金の4分の1に達するまでとする。4分の1に達した場合には、積み立てる必要はない、

②配当金の10分の1を利益準備金として積み立てなければならない。

これは会社の利益を全て配当金として社外流出させてしまうと会社に利益が残らなくなり、債権者の返済に充てられる分が少なくなってしまうからです。債権者保護のためにも利益準備金の積み立てが強制されています。

 

簿記2級の問題では、この利益準備金の金額を「各自計算」という形で自分で計算しなければならないこともあります。

「利益準備金は会社法で認められる金額を積み立てる」という指示があります。

利益準備金の積立額 計算

 

問題1.平成☓5年6月28日の定時株主総会において、繰越利益剰余金200,000円を次のとおり配当および処分することが承認された。

利益剰余金:各自計算 別途積立金:45,000円 株主配当金:130,000円

なお、資本金、資本準備金および利益準備金の勘定残高は、それぞれ100,000円、21,000円、1,800円であった。

利益準備金は「会社法」で認められる最低額を積み立てる。

 

 

まとめ

株主配当金:未払配当金勘定

利益準備金の積み立て:利益準備金勘定 

任意積立金の積み立て:新築積立金勘定・別途積立金勘定